浮世絵コンシェルジュ 畑江麻里

美人画研究会

2017年1月25日(土)美人画研究会を開催しました。

 

今回は、私の母校の教授と親しい、帝京大学教授の岡部昌幸先生が拓殖大学の会場を手配して下さり、これまでの美人画研究会とは趣の違う「学会」のような研究会になりました。内容は、1)浮世絵美人画に焦点を当てた、江戸美人のファッション(畑江麻里)、2)大衆雑誌の表紙における美人画の変化(岩崎達也・帝京大学博士課程)、3)美人画論・英国編Ⅰより、デイヴィット・パイパー「英国の顔」とノーブルな美人画(岡部昌幸教授)、という三本立の研究発表を行いました。

 

 

 

<研究内容>

 

1.浮世絵美人画Ⅰ

 ~江戸美人のファッション~ 畑江麻里

 

2.新制作派協会における美人画

 ―猪熊弦一郎と小磯良平の女性像を中心に― 岩崎達也

 

3.美人画論 イギリス編Ⅰ

 ―デイヴィッド・パイパー『英国の顔』とノーブルな美人画 岡部昌幸教授

 

絵画鑑賞会 

   歴史的画家の未公開・真筆の美人画を鑑賞! 岡部昌幸教授

 

 

畑江の発表。

浮世絵美人画Ⅰ~江戸美人のファッション~ 

 

華やかに着飾り豪華な簪をさした花魁の美人画と、寛政期から幕末期の地味な着物の裏に隠された花柄の襦袢の美しさや、格子柄・縞柄の着物の「粋」を表現した江戸モードの美人画との比較を中心に発表しました。

 

 

江戸時代初期の小袖は装飾的で、帯はあくまでも実用品として使われ、小袖と比べると地味でした。しかし、奢侈禁止令により、幕末になると帯と小袖の関係が逆転します。脇役であったはずの帯がその存在を主張しはじめ、小袖は縞模様など地味になり、着物の裏に模様を置く裏模様、襟先、褄、裾にのみ模様を置く裾模様など、表面上華飾を敬遠したものが表れます。

某私立大学大学院博士後期課程の岩崎さんの研究発表。

新制作派協会における美人画

 ―猪熊弦一郎と小磯良平の女性像を中心に― 

 

 

「日本のドガ」と呼ばれた小磯良平の作品を多数紹介された後、『婦人画報』などの大衆紙の表紙絵、猪熊弦一郎が「日本のマチス」と呼ばれたことを紹介して下さいました。

【研究概要】

昭和10(1935)年に二科会などの在野の団体を、政府の管理下に置くために改組帝展を行ったところ、従来、帝展にいた画家たちが抜けてしまい、昭和11(1936)年に、無鑑査制の復活などの緩和策によって、帝展系の画家たちが戻っていった。これを帝展改組問題と言います。この時に、帝展を抜け出し、そのまま在野にの団体を作ったのが、猪熊弦一郎、小磯良平などが率いる新制作派協会(現・新制作協会)です。彼らは、「新生活派」と呼ばれ、昭和戦前期、戦後期の一般大衆の生活、レジャーを描いたことで評判を得ました。中でも、女性像においては、自由なファッション、お稽古、労働を謳歌する女性像を戦前より描いていました。本発表では、新制作派協会の画家たちの中から、猪熊弦一郎と小磯良平の東京美術学校在学中から戦後まもなくまでの女性像を描いた作品を紹介しながら、自由を謳歌する日本のキャリアウーマンたちを描いた作品を紹介します。

※息抜きという意味も込めて、『婦人画報』、『週刊朝日』に表紙絵に描かれた、理想の美女像についても紹介して下さいました。

中西利雄の美人画。

岩崎さんによると、中西利雄は水彩の開拓者でした。通常、風景画に水彩を使いますが、彼は大きなキャンバスに水彩で人物を描くことを志していたそうです。この美人画も全て水彩で描かれています。

画面左側の作品には、戦前期に女性達がお洒落な西洋の帽子を買っている様子が描かれています。この時代にモダンガールが登場し、好きなファッションに身を包む女性達が現れました。

画面右側の作品は、展覧会で彫刻の作品を鑑賞している女性。この女性の着物に注目すると、アールデコ様式の柄が見えます。大正14(1925)年にフランスでアール・デコ博というものが行われ、アール・デコ様式がフランスから日本へ取り入れられ、着物の柄にもこの様式が採用されたそうです。

それまで家にいるのが普通だった女性達が自由きままに帽子やでショッピングをしたり、展覧会を観に行ったりと、自由な気質が既に戦前期の軍国主義の中にもあったことが分かりました。

岡部昌幸教授によるご講演。

美人画論 イギリス編Ⅰ

―デイヴィッド・パイパー『英国の顔』とノーブルな美人画 

 

顔にこだわる英国人気質と、ノーブルさが感じられるサージェントの絵画などを取り上げ、最後に、岡部先生が撮影されたデイヴィッド・パイパーの美人画の作品解説をして下さいました。

 

 

絵画鑑賞会 

   歴史的画家の未公開・真筆の美人画を鑑賞! 岡部昌幸教授

 

懇親会は同じ拓殖大学の展望ラウンジに場所を移し、岡部先生の所有される額装された、小早川清の美人画≪落花≫を鑑賞させて頂きました。

この日の為に、岡部先生がトラックを手配して、学生たちと一緒に会場まで運んで下さいました。